2021.11.11
住宅の話

脱炭素社会に向けた省エネ基準の見直し 断熱等級7発表

Iwa

こんにちは。高野工務店のiwaです。

弊社は鳥取県三朝町に会社があり県中部地域を中心に仕事をしている工務店会社です。

11月4日に脱炭素社会に向けた省エネ基準の検討会議が行われ、省エネ基準が見直されました。その結果新たに断熱等級5,6,7が発表されました。なので今回はそのことについて解説していきます。

国交省HP

資料ページ

1.断熱等級7の発表

2.等級7を目指していきましょう

3.Ua値を上げるだけではいけません

4.目指すべきこと

5.まとめ

1.断熱等級7の発表

今回の会議では断熱等級5.6.7が発表されました。まずこの断熱等級がどれくらいの性能基準なのかを説明します。

資料を確認すると断熱等級5は現状のZEH基準ということになります。今までは国の最高断熱等級4よりもさらに上のハイエンドモデル住宅としての位置づけでした。

等級6はHEAT20のG2グレード等級7はG3グレードと同水準のものとなっています。※ただし5地域では等級6がG1グレード水準となっています。

これにより国が定める最高断熱等級はHEAT20のG3グレードと同等の性能ということになります。

今まで断熱等級4で国が定める断熱基準の最高等級ですよという売り文句は使えなくなるどころか7等級から3つも基準が低い性能となってしまいます。もともとの等級4という基準があまりにも低すぎるということもありますが。

今回の等級6や7はあくまでも国としての断熱基準なので法律による義務化ではありません。

※国土交通省HP資料

2.等級7を目指していきましょう

国が定める最高断熱等級が7になったということで、今後はG3レベルの住宅を増やしていきたいという狙いがあるなと思います。

その理由として脱炭素社会、持続可能な社会に向けて動き始めたということが挙げられます。

ただG3基準だと中々取り組むのに技術とお金が必要になりますのでその一つ下の等級6が普及しやすいところなのかなと思います。

等級6や7が普及してくると今後大手ハウスメーカーや建材メーカーも発注数量が増え材料の値下がりもして金額的な部分では負担が少し軽くのかなと予想します。

3.Ua値を上げるだけではいけません

ここで注意していただきたいのは、せっかく等級6や7の住宅をつくっても持続的な住宅にしないと意味がないということです。

持続的な住宅というのは住宅自体が長持ちして少ないエネルギー利用だけで快適に生活が出来る住宅です。

ポイントは高耐久、経済的、バランスです。

今回の国からの資料を見ると気密性についての記述が見当たらなかったので、もし気密測定を考慮していないとなるとせっかくの高断熱住宅もその効果を十分に発揮できないどころか隙間風から結露が発生する可能性もあります。また白蟻対策や耐震性能についても考えていかなければいけません。

しっかりと対策をして耐久性を高めることで性能の良い家を長く使い続けて生活することが出来ます。

Ua値を高めるだけであれば、窓面積を少なくし断熱材をいたずらに厚くすればいいのです。ですがUa値をよくすると逆に冬の暖房費が高くなってしまう場合もあるので注意が必要です。

経済的には冬の暖房費は夏の冷房費よりも光熱費が高くなるのでより少ないエネルギーで快適に生活できることを考えると断熱性能とパッシブデザインのバランスが大切になってきます。

4.目指すべきこと

等級6を、できれば等級7を目指していきましょう。

最終的に求められるのは高耐久で長く使い続けることが出来る住宅で快適に生活することだと私は考えますが、今はまだ日本の断熱性能が低すぎるのでそれを高めることに重点を置くべきだと思います。

さらにその先を見据えてたことは我々工務店や設計事務所が考えお客様に提案することだと思うのでこれからも勉強を続けていかなければいけないと考えています。

住宅の設備に関しても、その会社独自開発の特殊な設備を設置しないことや、点検、交換が容易でお手入れしやすいこともポイントかなと思います。

5.まとめ

断熱等級6を、できれば等級7を目指しましょう。

今回の会議で新たに断熱等級が決まったことにより日本の住宅業界が脱炭素化に向けて急速に進んでいくと思います。

大手ハウスメーカーやパワービルダーと呼ばれる大きな会社でも高断熱高気密化が進んでいくことを願います。ただ法律での義務化はされていないので、家づくりを考えている方は検討中の会社の人と良く話合うことが大切だと思います。


国交省HP

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