2020.07.14
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「NE-ST」第1話なぜ住宅の性能を拘るようになったのか

Iwa

こんにちは。高野工務店のiwaです。

71日より始まった「とっとり健康省エネ住宅」(通称NE-ST)ですが、断熱性能の高い住宅を建てて快適な生活を送りましょうということで始まりました。助成金を受けるためには楽ではない基準をクリアしないといけませんが、なぜそこまで住宅の性能を拘るのか今回はその経緯を説明します。

全何回になるか分かりませんが第一弾は「なぜ住宅の性能を拘るようになったのか」

なぜ日本の住宅は夏暑く冬寒いのか


まず、冬場に実家の家やおじいちゃん、おばあちゃんの家に行ったとき、めちゃくちゃ寒いと感じたことはありませんか。

床は床冷えして窓からは冷気が入りお風呂場は熱い湯船につからないと体が温まらなくて寒すぎる。そう感じた方もいるはずです。それに加え夏は高温多湿で蒸し暑い、なんて経験をした方もいると思います。

日本人は昔から何かと我慢をする傾向があります。我慢をすることが美徳とされ、夏の暑さも冬の寒さもそういうものだとして我慢してきました。しかし近年ではエアコンにより我慢せず快適な温度で生活するようになりました。加えて地球温暖化で夏は我慢できない暑さになっておりエアコンを使用するようになりました。

エアコンを購入して設置して使用すれば暑さも寒さもなくなり1年中部屋が快適な温度環境に保たれるようになりました!めでたしめでたし、、、

と、ここでめでたしとはならなかったのです。

のエネルギー逃げています!

なにがどうめでたしではないのか。結論を先に言うと日本の住宅の断熱性能が低すぎてエアコンの空気が外に垂れ流しに近い状態になっているということです。お風呂の栓を閉めずに蛇口を全開にしてお湯を溜めようとしているような状況です。

そのような状況では1日中エアコンがフル稼働して必要以上に電力を消費しているということになり経済面・環境面から見ても決して良い状態とは言えませんね。

また外国と比較しても日本の住宅は断熱性に関して遅れています。外国では窓の断熱性や住宅の断熱性に対して国の基準があり法律として定められていますが、日本ではその法律が決まっていません。国としての目標数値は決まっていますが努力義務なので法的な力もなく守る必要もありません。

目に見えない分感じにくく分かりにくいですが、住宅の中で一番熱の移動が大きいのが窓になります。夏場は住宅全体の約7割、冬場は約6割が窓を伝って熱の移動が起きています。

ヒートショックという言葉

ヒートショックという言葉を聞いたことがあるでしょうか。近年ではテレビでも冬になればよくニュースに流れる言葉で、耳なじみの方もいると思います。驚愕の事実として、浴室での年間死亡者数が1万9千人に上ると言われています。これは年間の交通事故死亡者数約3500人よりもはるかに多いです。そして浴室での死亡者数の多くは冬場に集中しておりヒートショックが原因であることが多いと言えます。断熱材の無い浴室内の寒い気温と浴槽内の熱いお湯の温度差に人間の血管が急激な膨張収縮を行い倒れてしまうということがあります。熱いお湯に浸かっている分お風呂から出ても体感では寒さを感じにくいですが身体の中にはかなりの負荷がかかっています。

これから先目指すもの

そこで発足したのが「HEAT20」という団体です。有志によって構成された団体でそこで提言されている新しい住宅の性能基準が今回の「とっとり健康省エネ住宅」の基準となっています。こちらも法的制度はありませんが現在全国で徐々に広がりこの基準をクリアしている住宅が少しずつ増えています。

その基準に全国で初めて県として助成金を設けたのが今回のとっとり健康省エネ住宅になります。平井知事に感謝です。

次回は「とっとり健康省エネ住宅」のこの↓表の解説をしていこうと思います。


第2話はこちらへ

もっと詳しく話を聞きたいという方はこちらへ

今回参考にしたサイトです↓合わせてご覧ください!

パッシブハウスジャパン HEAT20