2021.09.02
住宅の話

省エネ住宅について学ぶ⑤ 窓の話

Iwa

こんにちは。高野工務店のiwaです。

弊社は鳥取県三朝町に会社があり県中部地域を中心に仕事をしている工務店会社です。

省エネ住宅について学ぶ5回目は窓についてです。

①窓の役割

②アルミサッシのメリット・デメリット

③アルミ樹脂複合サッシのメリット・デメリット

④樹脂サッシのメリット・デメリット

⑤どのサッシが良いのか


①窓の役割

窓は家の中で必要な面積が法律で決められています。居室と言われるリビングや寝室では床面積の1/7以上の開口部、つまり窓を設けないといけません。その他のトイレや浴室などは窓が無くても法律上は問題はありません。

ではこの窓の役割ですが、一つが家の中に明かりを取り入れることです。壁しかない家では暗く閉塞感がありリラックスできる状態ではありません。効果的に明かりを取り入れれば昼間は電気を必要としませんし冬場の日射取得にも役立ちます。

二つ目は風を取り入れることです。風が吹いて気持ちのいい日は窓を開けて自然のエネルギーを利用することも出来ます。窓を開ける開けないは住む人の考え方にもよりますが、家の中を抜ける風は高性能住宅では味わえない自然の気持ちよさもあると思います。

私が考える窓の役割はこんな感じですが、温熱環境から考えてみます。

実は窓と言うのは家の中で一番熱エネルギーの出入りが大きな部分となっています。夏には家全体の約7割のエネルギーが、冬には約6割のエネルギーが窓から逃げています。結果、窓の性能が悪いと暖房や冷房エネルギーを多く消費することになってしまいます。アルミサッシのガラスが1枚の窓の住宅でも内窓を付けるだけで変わってきます。内窓の設置や高性能な窓を使用すると冬の結露やコールドドラフトを大きく抑えたり夏の窓からの熱を抑える効果があります。ただ窓だけでなく家全体の性能を高める必要がありますが。

また、簡単ではありますが窓の部位について簡単に説明します。窓には大きく分けて3つの部位があります。

サッシ:窓枠やガラスをはめている周りの枠部分です。一般的にアルミサッシの場合一番に結露発生リスクがあります。

スペーサー:複層ガラスやトリプルガラスの場合、ガラスとガラスの間にある部材です。材料にはアルミと樹脂のどちらかを使用しておりアルミの場合熱橋部分となりやすいです。

ガラス:上記でも書きましたが複層ガラスとトリプルガラスの2種類ありLow-eという熱の吸収・反射を行う機能を持った金属膜を張ることが一般的になっています。

次の項目からは各窓のメリット・デメリットを書いていきます。

②アルミサッシのメリット・デメリット

アルミサッシは現在日本で一番使われている窓材です。そのアルミサッシのメリット安いことと加工が簡単であることです。加工に関してはお客さんには関係ないので実質安いことがメリットになるかなと思います。ですが安かろう悪かろうなのでデメリットもあります。

デメリットは窓の断熱性能が低いことです。先ほど書いた家から外に逃げるエネルギーの多くが窓と書きましたが、その原因がこのアルミサッシだということです。アルミサッシはとにかく熱を通しやすいので冬の暖房で温めたエネルギーも、夏の涼しい空気もアルミサッシのおかげでどんどん外に逃げていきます。なので冬が特に顕著ですが、寝る前に暖房器具のスイッチを切った部屋の温度が20℃だとすると朝になれば10度以下になっているなんてことも当たり前のようにあります。

③アルミ樹脂複合サッシのメリット・デメリット

次にアルミ樹脂複合サッシです。長いので以降は複合サッシと書きます。複合サッシは現在全国で普及が進んでいるサッシになります。外側がアルミで作られており、部屋の中から見える仕上げの部分に樹脂を使用しています。

メリットはアルミの強度と樹脂の断熱性能両方の特徴を生かした性能の窓という設計になっています。アルミサッシよりも性能ははるかに良くなっており、ガラスも複層ガラスとトリプルガラスがあります。新築を建てる方の中でも複合サッシを採用しようと思っている方も多くおられるのではないでしょうか。また、価格に関してはアルミサッシよりは高くなりますが樹脂サッシよりは安価で手の届きやすい価格範囲になっていると思います。

デメリットは結露の可能性が樹脂サッシに比べて高いということです。いくら性能が高いと言っても材料にアルミを使用しているので結露リスクは樹脂サッシよりも高くなります。例えば同じ室温と湿度でも樹脂サッシだと結露しなかったのに複合サッシを使ったことで結露が発生してしまう場合もあります。U値という熱貫流率だけ見れば樹脂サッシとも遜色はないですし結露発生リスクのある温湿度にならないように注意していただければ大丈夫だと思います。

④樹脂サッシのメリット・デメリット

最後に樹脂サッシです。樹脂サッシはガラス以外の部分がすべて樹脂でできておりオール樹脂サッシとも言われています。

アルミサッシ、複合サッシにくらべて一番断熱性能が高くなっており高性能住宅の多くで採用されている窓になります。

メリットは何と言っても断熱性の高さです。ただ、断熱性能と言ってもU値だけの話ではなく、結露発生リスクも一番低い窓となっています。窓の中で最初に結露するのは窓の下枠なのですが、この部分が樹脂サッシは複合サッシと違いアルミを使用していないので一番温度が下がりにくくなっています。その結果冷気や寒気と言った体感部分での温度ムラも小さくなり不快感も解消されます。

また樹脂だから紫外線に弱いんじゃないかと言うことや強度が無いと思われる方も多くいるかと思います。ですが一般的に紫外線に弱いと言われている樹脂はポリエチレンで出来ており、サッシに使われている樹脂は塩ビ樹脂と言う樹脂を使っており紫外線に強い材料を使用しています。高断熱化が進んでいる北海道でも樹脂窓は主流の窓として使われていることから、耐久性や強度が悪ければ普及することもないので事実が物語っていると言えます。

デメリットは値段が高価であることと樹脂の枠が太くなってしまうので見た目を気にする人もいるかなという点です。


⑤どのサッシが良いのか

上記3種類のサッシに補足して日本ではまだあまり普及していないですが木製窓もあります。性能としては樹脂と同じくらい高断熱ですが木製ならではの木の温かみを感じられるのではないかなと思います。実際には見たことないので私の勝手な予測です。

どのサッシが良いのかということですが、私個人としての結論は樹脂サッシが一番良いなと思います。ですがアルミ樹脂複合サッシ、または樹脂サッシであればどちらでも良いのではないかなと思います。複合サッシは結露のリスクが高くなることを込みで使用していただくなら問題はないかなと思います。

またサッシ以外で大切になってくるのが窓のバリエーションです。

日本では引違窓が多く採用されていますが気密の観点から見ると縦すべり出し窓やドレーキップ窓などが有利かなと思います。これは窓の開閉の仕方が原因で引違窓は窓を閉めた時に窓同士を重ね合わせて鍵をかけるので若干気密性の面で不利に働きます。逆に縦すべり出し窓やドレーキップ窓は窓枠にガラス面の枠を押し付けて閉める形になるのでしっかりと気密を確保することが出来ます。ただ引違窓でもガラスの枚数が増えて窓自体の重量も重くなった結果気密性能が高くなっているので、あとはそれぞれの考え方次第かなと思います。

個人的には樹脂窓を推しますが国としての法律もありませんし義務化もされていないので個人の資金をみて住宅会社の人と良く話をして決めていただければ良いかなと思います。


今回は窓の種類について書きました。

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